第4編 有機化合物

第1章 有機化合物の分類と分析

1有機化合物の特徴と分類 

2有機化合物の分析

 

 有機化合物の特徴と分析

有機化合物の特徴

 〔 炭素 〕を含む化合物を有機化合物といい,炭素以外の元素からなる化合物を無機化合物と区別している。ただし,習慣上,CO2COなどの炭素の酸化物やCaCO3KCNなどの炭酸塩やシアン酸塩は,無機化合物として扱われる。

 

有機化合物の特徴

 

有機化合物の構造

@有機化合物を構成する原子の原子価(手の数)  

A結合と立体構造 

   
 

<補足> 単結合は〔 飽和結合 〕,二重結合と三重結合は〔 不飽和結合 〕ともいう。また四重結合は立体構造的に無理が生じるので存在しない。【発展】混成軌道と結合参照)

 

【有機化合物の分類】

炭化水素の分類

炭素と水素からなる化合物を〔 炭化水素 〕といい,炭化水素は全ての有機化合物の母体をなす重要な化合物であり,次のように分類される。


@構造や,炭素原子間の結合の種類による分類

   
 

A官能基による分類                        611005

炭化水素の水素原子を他の原子または原子団(基)で置き換えるといろいろと性質の異なる化合物ができる。例えば,炭化水素であるメタン〔 CH4 〕は水に溶けない気体だがメタンからH原子1個をOH〔 ヒドロキシ基 〕で置き換えたメタノール〔 CH3OH 〕は,液体でよく水に溶ける性質がある。炭化水素にヒドロキシ基のような特定の基が結合すると,化学的性質の良く似た一群の化合物ができる。このように,化合物の性質を特徴づける特定の基を〔 官能基 〕という。

 

また,炭化水素からH原子が外れた形の原子団を〔 炭化水素基 〕とよび,特にアルカン(鎖式飽和炭化水素)からH原子が1つ外れた基を〔 アルキル基 〕という。

 
 

有機化合物の表し方

@数詞を覚える ・・・ ギリシャ語で1から10まで覚える。

 
 

A有機化合物の表し方(左下)

〔 分子式 〕…分子をつくっている元素の種類と数を表した式。

〔 示性式 〕…分子式の中から官能基を抜き出して明示した式。

〔 構造式 〕…分子中の原子の結合のしかたを価標を用いて明示した式。

   

B異性体

〔 分子式 〕が同じで性質が異なる化合物を,互いに〔 異性体 〕という。


構造異性体 ・・・ 分子式が同じで〔 構造式 〕が異なる異性体。(右上)

 

立体異性体・・・ 原子のつながり方や結合の種類は同じであるが分子の〔 立体 〕構造が異なる異性体。〔 幾何異性体 〕と〔 光学異性体 〕がある。 

例)2−ブテンCH3CHCHCH3 の幾何異性体(左下)

 二重結合をはさんで,同種の原子や原子団が同じ側にあるものをシス型,反対側にあるものをトランス型という。

 
   

  例)乳酸CH3CH(OH)COOHの光学異性体(右上)

4本の原子価(手)にすべて異なる原子・原子団が結合した炭素原子を〔 不斉炭素原子 〕といいう。不斉炭素原子を中心にして正四面体の頂点に他の原子・原子団が結合すると重なり合わない2つの構造ができ,これを光学異性体という。